足の声に耳を傾けた「足祭り」
先日、大阪府豊中市にある「足の神様」として知られる服部天神宮で開催された「服部足祭り」に参加しました。靴下メーカーとして、そして「靴下ソムリエ」としても靴下と向き合っている私にとって、改めて足の健康への関心の高さを実感する機会となりました。会場では、サイズやデザインといった表面的な要望だけでなく、毎日の暮らしの中で感じる足の悩みをたくさん伺いました。たとえば高齢のお客様からは、「いくつになっても自分の足でしっかり歩きたい」という願いとともに、家の中での転倒リスクに対する不安の声を多く聞きました。実際、転倒事故の多くは外出時ではなく、家の中で起きているといわれています。ふくらはぎや太ももの筋力低下、足をしっかり蹴り出す力の衰えなど、足元の変化が原因です。一方で、若い世代や働く世代からは、「スポーツ時のパフォーマンスを上げたい」「仕事中の足の疲れを軽減したい」といった、身体のケアやストレス対策への関心が目立ちました。足に関するニーズは年齢やライフスタイルによって多様です。ネットショップなどの便利な買い方だけでなく、ポップアップや地域イベントへの参加を通じ、「出会い」の中でこそ、必要とされる靴下のヒントが見えてくると思います。靴下を通して人と人、地域と人をつなぐ存在でありたいと願っています。
(奈良新聞連載・宇宙一靴下大好き社長のくつ下話85号より・2025年10月8日付)